3つのR


「うっ・・・」

 非常に苦しかったけど、まさかスプーンごと口から出すわけには行かない。そう思ってぐっと耐える。すると前からのんび~りとした楽しそうな声が聞こえた。

「・・・当たり前だけど、出来立てだからかーなり熱いよ~」

「・・・」

「舌、火傷してない?」

「・・・う、はい」

 もう!予想されていたなら裏切りたかった!平然と食べて味わい、ニコニコと感想を述べる、そうしたかった。だけど、もうしてしまったことは仕方ない。私はそろそろと口の中に広がる味を、目を瞑って捕まえる。

 丁寧に炒められた・・・玉葱、かな。トマトとひき肉もしっかり歯ごたえが・・・ああ、クリームが一緒になってて・・・うううーん!

「――――――美味しいです」

 自動的に大きな笑顔になった。カウンターに肘をついてその上に顔をのっけたリラックススタイルで、龍さんも大きく笑った。

「そうだろう、俺は何たって天才だからねえ」

 ・・・この際自我が強いのは長所なのだと思っておこうっと。私は心の中で苦笑して、それからはご飯に集中した。



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