3つのR


 あまり外出もしないから、外食もしない。姉や自分の作ったご飯でないものを食べるのが久しぶりなのに、それがこんなに美味しいものだとは!わーい、今日外出して本当によかったなあ!

 そう思っていた。

 お姉ちゃん、ごめんね、とも。

 私だけこんな贅沢をして申し訳ない。だけど作る人間も格好いいなら作られた料理は素朴だけど美しいし華やか。ハッキリとした色とりどりの食材、それらがはじめからデザインされたみたいにベストポジションに収まってるみたいだ。

 味わうごとに、一々感動した。

 私が大変喜んで、おしとやかとは言えない勢いで食べているのを暫く満足そうに見てから、彼も自分の分を食べ始める。隣にはこずに、カウンターの中に立ったままでガツガツと食べていた。

「勿体無いみたいです、居酒屋にいらっしゃるのが。こんなに美味しい洋食を作るのに!」

 出された炭酸水を飲みながらそう言うと、龍さんはあはははと笑った。

「そうでしょ。でもここが居心地がいいし、楽。それにメンバーが楽しいから離れたくねーんだ」

「皆さん仲がいいんですね」

「そうそう。休みが週に2回しかないのがアレだけどね~」

 ぱりぱりのレタスを口に入れたままで、私は驚いて目を見開く。


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