3つのR
「・・・チャリ、取ってきた。遅くなって悪い」
いえ、それはいいんですけど―――――――私はそう言いながら立ち上がる。その古くて油のきれたみたいな音をたてる自転車は、ボロボロだった。ちょっと笑えるくらいに古いそのママチャリが、あまりにも龍さんに似合わなくて面白かった。
あははは、とつい声を出して笑う。
彼も苦笑した。
「乗れる?ちょっとお尻痛いかもだけど、これで送るから」
「あはははは・・・私重いですよ~」
「俺は鍛えているから安心してくれ」
笑いが止まらないまま、私は横向きに彼の後へ座る。タイヤの空気大丈夫なんだろうか、これ。二人でのったらすぐパンクとか勘弁してね、などと考える。
「ほら、ちゃんと捕まって」
「はいはい。では失礼します~」
それでも遠慮してサドルの下を掴んでいたら、腕を引っ張られて彼の腰に手をまわす結果となった。
「落ちたら更に酷いことになるだろーが」
「・・・ええと、はい」
では出発!真っ直ぐでいいの?そう彼が聞くから、私は赤面を隠して後ろから道順を教える。しばらくこのまま川沿いで、それから国道を左折して公園を通って・・・。