3つのR


「いや、後でちゃんと返すからっ!」

「だからっていけません~!」

「じゃあ今から戻しに行くか!?」

「い、いや、それは・・・」

「ジュンコさんも共犯だからねー!!」

「えええーっ!?」

「チャリ返す時にごめんって謝っとくわ、後でな!!」

 嘘~!!道にあった誰かの自転車だったとは!私はひきつったけど、もうここまで来ちゃったら仕方ないじゃないの!だって家はもう目前なのだ。


 全身で息をして汗だくの龍さんが自転車を止める。私は後から降りて、ヘロヘロの龍さんを覗きこんだ。

「・・・大丈夫ですか?」

「うん!・・・いや、あんま大丈夫じゃねーかも!くそ~最近トレーニングしてねーから、鈍ってたな~!」

 ぜいぜいと息を吐きながら、龍さんが汗だらけの額を擦った。

 トレーニング?あ、やっぱり何かやってるのかしら、この人。そう疑問が浮かんだけれど、今はひとまず水なりタオルなりあげるべきだよね、そう思って私は鞄から鍵を取り出す。


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