3つのR


 ひんやりとした姉の手がすっと私の額へ張り付いた。その後で、彼女の小さな声が。

「ああ・・・熱が出てるんだわ。折角の来客だったのにね」

 ―――――――熱。

 私はうんざりして重いため息をつく。・・・あーあ、やっぱり走って疲れたり、川原の風に冷やされちゃったのかなあ。もう本当、うまくいかないんだから・・・。

 二人で台所を出ると、龍さんがコーヒーを飲みながら窓から外を眺めていた。そして気がついたように、ひょいと振り返る。

「コーヒー頂いてま―――――――うん?」

 彼が目を細めた。

「どうしたの、まだしんどい?」

 私は自分の頬を手の平で触る。確かに、すこしばかり熱くなってきているようだった。

「熱が、ちょっと出てきたみたいで。すみません、送ってもらって助かりました」

「ありゃあ、熱が。やっぱり川原で待たせたの悪かったなあー」

 龍さんが情けない顔をするのに、私の隣から姉が口を入れた。

「ねえ、右田さん。すみませんが、妹を部屋まで連れて行ってくださいます?私残りの仕事きりのいいところまでして、戻ってきますから」

 二人で姉をガン見した(はずだ)。


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