3つのR


「何?」

 一つ、呼吸。それから不自然に左手で押さえつけた右手を解放する。私はへらっと笑って言った。

「・・・いえ、何も。今日はどうもありがとうございました」

 龍さんがひゅっと片眉を上げる。

「今何か言いかけた。違うこと。何て言おうとした?」

「い、いえ、何も――――――」

「言えよ」

「何でも、な」

 彼の細めた瞳がまっすぐ私に向かっている。一瞬で緊張した。

「言え」

「・・・」

「言えーっ!」

 きゃあああ~っ!!

「い、いかないっ・・・で」


 言葉が出た瞬間、ガバッと両手で口を塞いだ。―――――――――私ったら!!!



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