3つのR
「・・・うん、オッケー」
低い声が聞こえた。
恐らく赤面して恥かしさの余り呼吸困難で死に掛けている私に体を向けなおし、龍さんがしゃがみ込んで目線を合わせる。それから、タレ目を細めて笑って言った。
「奥ゆかしい方がずうずうしいよりはずっといいって思うけどさ、でも女の子は多少ワガママでも素直なのがいいと思うぜ」
・・・出た。女の子。私は口元を押さえたままでぼそぼそと言う。
「・・・・うわ・・・あのー、今のは・・・忘れて下さい」
私の小さな言葉は絶対聞こえていたはずだけど、彼は耳に指をひっかけて、何?聞こえなかった、と言う。もう一度言ってみたところできっと同じ結果だろうってわかった。
だって、既に龍さんはいたずらっこのような企んだ顔をしていたからだ。
それから彼は問答無用で私をベッドへ横たえさせたのだ。詳細は恥かしくて瞬間的に忘れたけれど、自力で寝転ばないなら俺が押し倒してあげようか?などと言ったような気がする。・・・・忘れたけど。忘れたかったからいいんだけど。
「病人なんだから、寝て」
結局負けてその服のままでベッドに寝転んでいた私は、掛け布団を頭まで引っ張り上げながら叫んだ。
「わっ・・・判りましたから、どうぞもうお帰り下さい!」