3つのR


 朝食後のコーヒーを飲む姉に手を振って、私は玄関を出た。

 もう4月の初めで、季節は完全に春を迎えていた。うーんと、まずは玄関の前で伸びをする。時間を区切って外出するようになって、頭の調子はえらくいいのだった。

 区切りがつくからだろう。無心にゴミを拾っていると、アクセサリーのアイディアがポンと浮かんだりすることもあってそれも重宝した。

「さて、今日はあっちへ」

 一人でブツブツいって小さく折り畳んだゴミ袋とホームセンターで買ったゴミ用トングを持って、私はフラフラと公園へ入っていく。

 冬の寒さから解放された緑たちは輝いて、これから生き物の季節がくるのだなあ、と思わせた。

「おはようございます」

「あ、おはようございます」

 朝、公園のゴミを拾うようになって、案外公園を使う人が多いという事実を知った。

 年配の方がグランドゴルフをしていたり、ウォーキングをしていたり、同じく散歩していたりで。最初は何となく人目につかないタイミングを狙ってゴミを拾っていた私も、そのうちもういいやと思って堂々とやりだした。すると、色んな人が声をかけていってくれるのだ。

 今日もやってるの?ありがとね~、とか、朝からご苦労さん!とか。

 最初は一々わたわたしていた私も、今では軽いお辞儀と同時に軽口を言えるくらいにはなっている。


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