3つのR


 あ、なるほど。私は納得して、出来るだけ爽やかな笑みを浮かべるべく努力をする。

「大丈夫です。ちょっと考え事をしていただけなので」

「急に声を掛けて邪魔しましたね、すみません」

「いえいえ。・・・散歩ですか?」

 犬を連れているのだからそうに決まっているけれど、私はとりあえずそう聞いてみた。しんどいのかと思って知らない人にわざわざ声を掛けてくれたこの人が、自分の勘違いに気付いて恥かしがっているように思えたからだった。

「はい。いつもこの時間にこの公園を・・・。あの、いつも朝公園のゴミを・・・拾ってらっしゃいますよね?」

「あ、はい」

「それで先日、ちょっと顔色が悪くてふらついてた時があったな、と思い出して」

 あ。

 思い出した。そうだそうだ。私はつい先日の火曜日、天気が悪くて気圧が低く、そのせいか立ちくらみが起こったのだった。袋をもったままでグランドゴルフをしているおじいちゃんやおばあちゃん達が話しかけてくれて、立ち話をしている時だった。

 その時くらりときて、しゃがんでしまったことがあり、その場にいた人をえらく心配させてしまったのだ。

 その中に、確かに犬連れの男性がいたわ!それを思い出した。

「あ・・・ええと、あの時は心配かけましてすみませんでした。今日は大丈夫です」

「そうですか、良かった」


< 93 / 258 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop