時は誰も待ってくれない 上
家まで送ってくれた柴田さんは「同じ総合科だし授業一緒になるかもね」と言うと私の頭を軽く撫でて帰った。
ちょっと古いアパートに入り、ベットに横になる。
悲しそう…。
まだ中谷への思いが溢れているんだろうか。
悲しそうだなんて…意識していないのに悲しそうなんて。
でもこの帰り道、気まづい話にはなったけれど
なぜか柴田さんといて心が落ち着いていた。
すんなりと言葉が出てきて、すごく居心地が良かった。
あの優しく笑う笑顔はまるで母が子供に優しく笑いかけるような感じで暖かい時間が流れる。そんなイメージ。


これが私の日常が壊れていく始まりの合図なんて知りもせず私は久々にゆっくりと眠った。
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