時は誰も待ってくれない 上
恋
あれから大学内で柴田さんと会う度に目が合ったりすると必ず柴田さんは笑いかけてくれる。
その笑顔に安心して私も笑ってしまう。
お昼とかたまに食堂で一緒に食べたりする。
授業はどこでも座っていい仕組みなので柴田さんと同じ授業になると私の隣に座ってくれる。
「学年違うのに一緒に授業受けてるなんて、なんか違和感あるね」
帰り道もいつの間にか一緒に帰るのが当たり前のようになっていた。
初めて一緒に帰ったあの日の次の日、バイトが終わってお店を出ると柴田さんが壁にもたれかかって立っていた。
「偶然だね」と言ってまた私と帰ってくれた。
次の日も次の日も。だからいつの間にか一緒に帰るのが当たり前のようになっていて私も何も言わない。