時は誰も待ってくれない 上
もちろん教授の話なんて頭には入ってこなくて私はふわふわした気持ちで隣に座っている優に意識が集中していた。

「お疲れ様でしたー」
「お疲れー」
いつもより早めに上げてもらった私は店長に挨拶してから店を出た。
外はもう暗くて時計を見ると八時を回っていた。
「真由」
暗闇に響く透き通るような綺麗な声に振り返ると車にもたれ掛かって立っている優が手招きをしている。
「いつから待ってたの?」
「さっき着いたから」
「そっか、良かった」
「じゃあ行こうか」
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