時は誰も待ってくれない 上
優が好き。
優が好き。
大丈夫、私はもう悲しくない。

ゆっくりと瞳を閉じて重なる二つの影が水面に映る。
こんなにも優しい人が傍にいてくれる。
これからずっと。
私は一人じゃない…。
私を強く強く抱きしめる優は本当に嬉しそうで優の鼓動が伝わってくる。
私と同じくらいドキドキと音を立てていて意識すると体が熱くなるけれど海の水がそれを冷やしてくれる。
心地良い冷たさで…。

私達を照らしている月は明るく輝いているのにとてもとても悲しそうに見えた。



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