時は誰も待ってくれない 上
「実家から通えるんだけどやっぱり自立したいっていうのもあったからね」
「あぁ、俺と一緒だな」
「優も実家は近いの?」
「いや、隣の県だよ」
「ふぅん…」
あ、やっぱりこのココア美味しい。
私の好きなものまで把握してくれる。
コップをテーブルに静かに置いた優が後ろから抱きしめる。
少し驚いたけど優しくて抱きしめる腕に安心感を覚える。
「真由」
「ん?」
私の耳元で甘く掠れた声で囁く。
「今日、泊まりなよ」
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