時は誰も待ってくれない 上
まだベッドに残っている温もりを感じなから私は窓の外を見ていた。
これはもう完全に癖だ。いつの間にか身についている。空を見る度に思い出すのは…
過去にはしない。ただ今の自分を思ってくれる人を大切にしたいだけ。
考えないように首を振った私はベッドから出て優のいるリビングへと向かった。

「あー…そろそろ健康診断だ」
「俺はもう行ったよ」
「行く時間なかったからなぁ」
診断書を見ながら呟く私にホットココアを私の前に静かに置きながら優が言う。
「明日にでも行ってくれば?」
「うん、そうする」
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