時は誰も待ってくれない 上
「え、あ、はい高橋です…」
『俺です』
俺?自己紹介が俺?
まさか…
「オレオレ詐欺ですか?」
『ぶはっ!』
耳元で聞こえた笑い声。
吹き出したような笑いのあとハハッと笑う、何度か聞いたことのある笑い声。
『俺だよ、中谷』
「なかっ、中谷!?なんで!?」
そうだ、この笑い方は中谷だ。
滅多に聞けないからすぐに出てこなかった。
でもどうして中谷が私の携帯番号知ってるの!?
いきなりの俺は中谷です発言に戸惑いを隠せない私に中谷が少し笑って言う。
『なんか伝言てきな?』
「伝言?」
『ほら、お前の横でいつもいる友達から』
「…梨香のこと?」
『あぁ、そいつの男友達が伝言頼まれたらしくて次俺に頼まれた』
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