時は誰も待ってくれない 上
「はい、誰かさんが転ばないように」
歯を見せて意地悪っぽく言う優に言葉が返せず真っ赤になりながら手を握ると優も優しく手を握り返してくれた。
手を繋ぐ二人が映るショーウィンドウには真っ赤になる私とそれを優しく見つめる優が映っていた。

「だいぶ歩いたし座る?」
「そうだね、やっぱり広いなぁ」
なんて言ったってここら辺で一番大きなショッピングモールだからね。
歩いても歩いてもお店が並んでるから全てに引き寄せられる単純な私とそれに付いてきてくれる優しい優。
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