時は誰も待ってくれない 上
いや、導かれるように視線がそちらに向けられた。これはもう運命?それとも神様の意地悪?
「中谷…?」
少し遠くだけど中谷がいる。
あの横顔から見える悲しそうな瞳も雰囲気も全部あの頃の中谷だ。

隣には綺麗な女の人がいてあの人が彼女なのかなって思ったりする。
でも少しだけ中谷に違和感があるのはあの頃よりも体がさらに細くなった気がする。
夏だから晒されている腕も首筋も以前より細くなっている気がした。
無意識に私は立ち上がる。中谷…中谷…
やっと会えた…もうこのまま会えないんじゃないかと思ってた…
「中谷…っ」
「真由?」
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