時は誰も待ってくれない 上
中谷の名前を呼んだ瞬間背後から聞こえた優の声にはっと我に返る。
「どうかした?」
「あ…うん、大丈夫」
優が中谷の存在を知るわけもなく首を傾げている優に優しく微笑む。
もう一度中谷がいた場所に視線を向けたけどもうそこには中谷の姿はなかった。

中谷、幸せですか?
彼女ができたんだね。すごく綺麗な人だね。年上の人なの?中谷はその人を愛していますか?
これまでの空白の時間、どんなことをしていましたか?
私は空を見る度に中谷を思い出したよ。
中谷の記憶の中に私はいましたか?
ふとした瞬間でも私を思い出したことがありますか?
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