時は誰も待ってくれない 上
それでいい。
意味なんて知らなくていい。
もし私たちが結婚して年をとって幸せで過去を話せるようになったら一番に中谷のことを話したい。
それでいい。
過去にしたくないのに過去になっていく。
それでも今日あの人混みから吸い寄せられるように中谷を見つけたのは私の本能なのか神様に操られてなのか。
私の胸はざわざわと騒いでいて激しく脈が打っていた。

私の家まで送ってくれた優に一日のお礼を言うと優はまた行こうなと頭を撫でてくれた。
部屋に入るなりベッドに倒れ込む。
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