時は誰も待ってくれない 上
私には優がいる。と思うのに頭の隅には今日見た中谷がいる。
ちゃんとご飯食べているの?と聞きたくなるくらい細くなっていた。頼りない感じではないけど二年半ぶりに見たからすごく印象的だった。
ケータイに付けられたキーホルダーが微かに揺れる。
部屋は電気もつけず、そのキーホルダーを月の光にかざしてみると本物みたいに綺麗でリアルに深海を再現している。

深海のような深い場所は空がないと、光がないと輝かない。その光は届くのかもわからない。
優は私を照らしてくれる。すごく優しくて真っ直ぐな人だから真っ直ぐに深海へと光を伸ばしてくれるような人。
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