時は誰も待ってくれない 上
笑顔で話しかけてもやっぱり泣くばかりで私の不安と心配も募る。
よく見ると男の子は転んだ時に出来たのか膝が少しだけ赤くなっていた。
「ここが痛いのかな?」
泣きながら微かに頷くと私の服の袖を掴む。
か、可愛い…!なんて思ってる場合じゃない。
「僕、名前なんていうの?」
男の子は名前を聞いた私を少し見上げて口を開こうとした時…。
「翔太、何やってんだ」
背後から聞こえた声。
「隼人兄ちゃん!」
男の子はすぐに泣き止んでその人の元へと走っていく。
「なんだ、お前また転んだのか?」
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