時は誰も待ってくれない 上
もう会えないと思っていた。
もう過去になるんだと思っていた。
その人が今目の前にいて私を見つめて微笑んでいる。
私の初恋の人で、想いを伝えれずいきなり姿を消した人。人生で一番泣いたあの日はあなたを想って泣いた。
伝えたいことはある。もう一度会えたら必ず言うと故郷を出る時に決めた。アルバムが入った箱の中には古い携帯のメモリーに中谷の電話番号だってある。
忘れてなんかない。過去にしたことだってない。空を見る度にあなたを想い、同じ空を見つめていると願った。
黙る私を不思議そうに見つめる中谷と翔太君。
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