時は誰も待ってくれない 上
「や…」
腕を振り払おうとしても力は強くてなかなか逃げれない。
「離してくださ…」
思いっきり力を込めて振り払おうとした私の耳に届いた声。
「真由!」
その声に咄嗟に顔を上げると目の前には私を心配するような顔で見る優がいた。
視界の端には車が止まっていて優のだとすぐに分かった。
「真由からなかなか連絡来ないから心配になって…」
優の顔と声を聞いた瞬間にまた涙が溢れ出す。
ぶわっと溢れて鼻の奥も痛む。
化粧も落ちているだろうし泣き顔は最悪だろう。
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