時は誰も待ってくれない 上
私はまたしばらくその温もりを背に感じながら涙を流した。

優が知らない人を想って泣いているなんて知らずに泣き止むまで優は背中をゆっくり撫でてくれた。
もう少し、もう少しこのままでいたらきっと日常に戻れる。こんな私を支えてくれて傍にいてくれる優しい人がいる。
これで最後にするの。もう二度と会わないと決めてサヨナラを言ったの。
だからもう少しだけ過去にする時間をください。
もうこの想いは過去にするの。
きっと泣きやんだ頃にはこの想いは消えている。
「真由…」
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