時は誰も待ってくれない 上
甘く甘く囁かれた言葉に私も涙を堪えながら返す。
「私も、愛してる―…」



重なる二つの唇は熱く、汗なのか涙なのか分からないけど一瞬だけ見えた優の目元から雫が流れた。



この時私何も知らなかった。
優がどんな思いで私を抱いたのか、どんな決意をしたのか。
私がどれほど優を不安にさせていたのか。

そして、その頃中谷が一人夜空を見ながら泣いていたなんて知るはずもなかった―…。


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