時は誰も待ってくれない 上
「でもやっぱり潮の匂いがいいね」
「真由は海が好きなの?」
石段に座った優が海を眺める私に聞いた。
「うん!優との初めてのデートで連れてきてくれた場所だもんね」
振り返ると優は穏やかに笑っていて二人の間には規則的な波の音だけが流れる。
海はどこまでも広くて見ているだけで心が開いていくような気分になる。
空気を吸うと新鮮な香りがして頬をかすめる風が気持ちいい。
そんな場所へ優が連れてきてくれた。そしてこの海で告白されて私達は付き合うことになった。
だから私にとってこの場所は優との始まりの場所で何度も来たいと思える場所。
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