時は誰も待ってくれない 上
どうしていきなりそんなことを言うんだろう?
私はどこにも行かないのに。
ずっとずっと優の傍にいると決めたのに。
「どこにも行かないよ」
「うん」
「ずっと傍にいるよ」
「…好きだ」
優は私の頭を引き寄せて優しいキスをする。
「私も好き…」
海の雰囲気と空気のおかげなのか素直に言葉が出てきた。だから優もいきなりあんなことを言ったのかもしれない。
これから優と歩んでいく。
中谷に別れを告げて理由も言わないまま泣いていた私を優は心配してくれている。
不安になっているかもしれない。
< 168 / 186 >

この作品をシェア

pagetop