時は誰も待ってくれない 上
「いきなりどうしたの?」
『あ…』
そう聞いた私にバツが悪そうな声を出して少し黙り込む山下くん。
何か話があるから掛けてきたんじゃないの?
『実は高橋さんが引っ越したあと、俺も大学受かって引っ越してさ』
「あ、そうなんだ!おめでとう」
『ははっ、おせぇよ』
山下くんは私の大学から少しだけ近い大学に受かったらしく、引っ越したらしい。
たわいもない話をしたあと山下くんがいきなり真剣な声になる。
『高橋さん』
「ん?」
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