時は誰も待ってくれない 上
反射的に顔を上げると真剣な顔で私の目を見ながら言った。
「うん、健康診断の時に…」
「中谷が入院しているのは、分かったよな」
「うん」
その答えに静かに息を吐く山下くん。
どうして山下くんは中谷が入院してることを知ってるんだろう?
まるでずっと前から知ってたような言い方で。
「なんで入院してるって?」
「確か…胃の調子が悪いから少しの間入院するって言ってた」
今度は盛大にため息をついた山下くんが座り直して私を真っ直ぐに見る。
山下くんはゆっくりと口を開いて衝撃的なことを言う。
< 179 / 186 >

この作品をシェア

pagetop