時は誰も待ってくれない 上
一瞬だけ嫌な予感がした。胸が激しく跳ねてざわついた。
聞いちゃダメだと耳を塞ぐ前にそれを聞いてしまった。
「中谷は胃が悪いんじゃない」
「え…」
「あいつが悪いのは心臓だ」

心臓。心臓は体を動かすために生きるために大切なもの。それが…悪い?心臓が悪いの?
でも中谷は胃って言ってた。良くなってるって言ってた。
既に私の頭は混乱してパニックを起こしている。上手く言葉が出てこなくてただ首を振る私に山下くんは悲しそうな声で告げた。


「あいつの余命はあと三ヶ月だ」

< 180 / 186 >

この作品をシェア

pagetop