時は誰も待ってくれない 上
店内は賑やかなのに私の頭は無音の世界で山下くんの言葉だけが頭の中で繰り返される。
余命があと三ヶ月?
何の冗談?と思った。
私を困らせて楽しい?と思った。
でも山下くんの顔を見ると、山下くんの瞳は揺れていて今にも泣き出しそうな顔をしていた。
冗談なんかじゃない。そう認めた瞬間、私の体が震え出す。
「でも…っ、会ったときは元気そうで…」
「あぁ、中谷から話は聞いてる」
「え?」
「総合病院であった日のこと」
あ…。私がサヨナラと言ってケジメをつけた日だ。