時は誰も待ってくれない 上

「真由ー!雪が降ってるよー」
友達の梨香が教室の窓から身を乗り出して初雪にはしゃいでいる。
高校に入って初めての冬で私達はまだ高一。
「わ、ほんとだ」
少し曇った雲からチラチラと降る小さな白い塊は地面についてはすぐ消えてしまった。
雪積もるかなぁ…
「へっくしょいぃ!」
横から聞こえた大きなくしゃみに驚いて横を見ると中谷が寒そうにしている。
「あ…、梨香もう寒いから窓閉めて」
「ん?分かったぁ」
そっか、一番端の窓際でこんな冬に窓を開けられたら寒いに決まってる。
実際、授業中も風が吹く度に窓がカタカタと音を発している。
チラッと中谷を見るとうめき声を上げながら手をこすり合わせている。
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