時は誰も待ってくれない 上
「やだな」
「え?」
「あ、…なんでもねぇ」
今、中谷なんて?
やだって言わなかった…?
同じことを思っていた…それだけで体は熱くなる。
きっと嫌だと思う理由は違うけどもし、その嫌な理由の中に私に会えないということが少しでもあったら私はそれだけで嬉しくて飛び跳ねるだろう。

中谷は俯いてしまって顔は見えなかったけど歩幅の小さい私に合わせて車道側を歩いてくれているさりげない優しさにまたときめいた。
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