時は誰も待ってくれない 上
最後に平然とそう言って玄関へとスタスタと歩いていった中谷。
今二人の間で何があったんだ?
「顔に出てたのか…だってぇ」
相変わらずニヤニヤしている梨香が私の肩に腕を回して言う。
「両想いなんじゃないのー?」
「えっ…」
りょ、両想い!?
それはないとしても照れてたの!?
あの石像みたいな無表情が照れなの!?
っていうか照れてくれたの!?
いきなりの出来事に私の頭はついていけず、パニック状態になりながら教室へと向かった。

中谷はすでに席についていて腕の中に顔を沈めて眠っていた。
いつもは窓際に向いてるけど今日は私の方に顔が向けられたいて綺麗な寝顔が見える。
以外に睫毛が長いとか眠るときはほんの少しだけ口が空いていて無防備なこととか肘をつきながらその寝顔を見つめていた。
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