時は誰も待ってくれない 上
私と一緒に学校へ来たことを梨香に茶化されて照れたらしい中谷。
どうして?
どうして照れたの?
ただ茶化されたから?
私は中谷と一緒に来れて嬉しいの。だから梨香に指摘されて照れたの。
ねぇ…
「どうして中谷は照れたの…?」
隣の席とはいえ、聞こえないくらいの小さな声でその無防備な寝顔に問いかけた。
その寝顔は変わることなくスースーと静かに寝息を立てている。
私も同じ大勢になって中谷を見つめる。
聞こえなくていい。答えが悲しいものだったらきっと私は泣いてしまうから。
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