時は誰も待ってくれない 上
購買は混んでいてひとつ買うのに一苦労で私はメロンパンだけを買ってその人混みから逃れた。
パンごときに争うなんて小さな戦いだなーっていつも思いながら教室へと足を向かわせる。

でも私はこんな人混みでも吸い込まれるようにそこに視線を向ける。
まるで操られているかのように、そこに視線がいく。
「中谷…」
玄関を出て裏庭へと行く中谷の姿が見えた。
私はメロンパン食べなきゃとか梨香が待ってるとかそんなことは一切頭になく、ただ中谷の後ろ姿を追う。
中谷に会いたい、中谷と話したいと心が思うよりも先に体が動く感じで私はその背中を見つめる。
「中谷…!」
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