時は誰も待ってくれない 上
中谷はゆっくりと振り返って少し驚いたような顔をした。
何となくだけど、中谷の背中は寂しそうで小さく見えた。
このまま追いかけずに声をかけていなかったらその背中は見ることもできない、どこか遠いところへ行ってしまいそうな気がした。
「高橋…」
「中谷、なんかあっ…」
こっちに歩いてきていきなり私の腕を引いて中谷の胸へと引き寄せる。
あまりにも突然で私はなんの反応もできずただ固まるだけ。
きっと今の私はすごく変な顔になってる。
驚きと嬉しさで顔が変だと自分でも分かるくらい。
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