時は誰も待ってくれない 上
困惑

今思えば中谷はいつも昼休みに教室にいない。
どこに行くんだろう?と思ってもいつの間にか居なくて。
瞬間移動でも使えるんじゃないかと思った。

「あー、あと一週間くらいか」
「何がー?」
「冬休みっ!クリスマスどーしよっかな〜」
昼休み、お弁当を食べている私の前で梨香がクリスマス特集の雑誌を読んでいる。
あ、そういえば梨香って彼氏いたんだっけ。
「付き合ってどのくらい?」
「んー?あー、二年くらいかな」
「結構長くなるねぇ」
「毎年一緒にクリスマス過ごすの!…あ、真由ごめん…」
さっきまで目をキラキラさせて頬を赤らめていた梨香がシュンとして私に謝る。
きっとクリスマスを一緒に祝えないことを謝ってるんだろう。でもクリスマスを彼氏と過ごすなんてすっごく素敵なことだと思うから私はこれっぽっちも僻んだりしない。
「私はいいから彼氏と素敵なクリスマスを過ごしてくださいな」
「ありがとう真由〜っ」
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