時は誰も待ってくれない 上
目を見開いて驚いている梨香は口まで開いている。
ていうか中谷と付き合えるわけ無いじゃん。
どう見ても私のことなんて眼中になさそうじゃない?
「じゃどうして中谷は真由を抱きしめたの?」
「それは…」
どうしてだろう?
どうして私を抱きしめたんだろ?
どうしてあんなにも悲しそうだったの?
「私は両想いだと思うけどなー…」
梨香が私と隣の中谷の席をチラッと見て呟いた。
私と中谷が両想いだなんて考えただけで恥ずかしくなる。
そんなことはありえないと思ってもやっぱり梨香の言葉を意識すると期待してしまう。
自惚れかもしれないけど周りから見て私達は両想いだと見えるなら私は嬉しいし期待してしまう。
頬に手をついて梨香が私を真っ直ぐに見て言う。
「冬休みまであと一週間」
「…」
「告白、したら?」
「えっ!高橋さん告白すんの!?」
告白という言葉に敏感に反応してきた上に大きな声で会話に入ってきた男の子。
教室にいるみんなの視線が私に向けられる。
うわー…最悪じゃん。
前に座る梨香を見ると梨香も顔が引きっている。
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