時は誰も待ってくれない 上
なんとか答えを書いて説教をまぬがれた私は席について小さな紙にありがとうと書いて教科書に挟み、バレないように山下くんに返した。

全く分からない問題を前にして固まる私を助けてくれたのは山下くんだった。
問題が書かれた教科書の隅っこに私が解くはずの問題の答えが書かれていた。
きっと私が名前を呼ばれている時に察したのか解いてくれてたんだろう。
そして私が全く分からないということも察して
答えを書いてくれてたんだ。
その証拠に書かれている文字は走り書きされていた。

意外な一面に私は少し驚きながら山下くんがクラスの中心的存在なのも分かる気がした。
私は後ろに座る中谷に心からありがとうと頭を下げた。
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