時は誰も待ってくれない 上
本当にその声は安心しきったような声で耳元で聞こえたその声にまた胸が高鳴った。
「山下くん、ありがとう」
「女の子があんまり無茶すんなよ」
そう言うと私をさらに強い力で抱きしめる。
また、私が知らない一面の山下くんがいて戸惑う。
「山下くん…?」
「高橋さん、昨日の約束覚えてる?」
約束って明日の放課後話がある…ってやつかな?
「うん」
「聞いてほしい」
抱きしめる私を離すと向かい合う感じになってその距離は近い。
その距離になのか真剣な顔をして私を見つめる山下くんになのか分からないけど加速していく胸の鼓動は速く、息苦しくなる。
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