時は誰も待ってくれない 上
「なんで、私なの…」
「さりげない優しさが好きだ」
「優しさ?」
優しいのは私じゃなくて困ってるときにいつも助けてくれる山下くんの方なのに。
「初雪の日、窓開けてはしゃいでる梨香ちゃんに窓閉めろって言ったじゃん?」
「あ、うん」
「あれって中谷がくしゃみして寒そうにしてるの見たからだろ?」
「え…」
「あれ俺たちも寒かったから助かったわ」
そんなところまで見てたの…?
いつものように友達とはしゃいでる山下くんがそんな私を見てくれたの?
「そういうとこ見てもっと好きになった」
優しく笑う。
あぁ、真っ直ぐだな…。
こんなにも真っ直ぐな人に告白されて見つめられても思い出すのは中谷のことなんだ。
「高橋さん、付き合って欲しい」