時は誰も待ってくれない 上
別れ
冬休みはどこにも行かなかった。
クリスマスも年が明けてもほとんど家から出なかった。
音楽番組で流れてるラブソングを聞く度に私は泣いた。
中谷に会いたい…。
ちゃんと気持ち伝えるって決めたのにまさかあんな誤解をされるなんて思ってなかった。
『いいんじゃね?お似合い』
『おめでと』
頭の中で繰り返される中谷の言葉。
言葉とは真逆な悲しいあの瞳が忘れられない。
会いたいのに会えないこの冬休みは地獄に感じた。
会ったら気まづいんだろうな…。
でも誤解のままこの想いを捨てたくない。
私は冬休みに入って一度、中谷の家を探してみた。
私と登校した日があったからきっと私の家とそんなに遠くないはずなのにいくら探しても中谷の家はなかった。