時は誰も待ってくれない 上
梨香が私に笑顔で言う。
きっと私に安心させてくれてるんだ。
こういう時本当に私ってダメだな…って思う。
「失礼しまー…っ」
堂々と五組に入ると誰かとぶつかりそうになった。
とっさに肩を掴んでくれたのは
「あ…、山下くん」
少し驚いたような顔をして私を見る山下くんに私は咄嗟に目を逸らしてしまった。
そんなわたしの頭をポンポンと軽く叩くと静かに呟くように言う。
「中谷は…ここにいない」
「え…」
その切ないような声に顔を上げると山下くんは悲しそうな顔をしていた。
「ここにいない…ってどうして?」
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