時は誰も待ってくれない 上


雪が降ってさらに気温がグンと下がった夕暮れの道を梨香と並んで歩く。
「さっむいねー」
「でも雪は積もってないね」
「雪積もったら埋まりたい!」
埋まりたいって…梨香は常に元気だなぁ。
しかも梨香は相当可愛い。
ショートヘアがすごく似合っていて耳にはひとつだけつけられたピンクのピアスが輝いている。
サバサバしているからなのかあまり女子には好かれないみたいだけど私は思ったことをすぐに言えるってカッコイイと思う。
だから私は梨香のそういうところが好き。
「あ、そういや今日なんかごめんね?」
「ん?何が?」
「中谷のこと…」
申し訳なさそうな声で中谷と言った梨香を見ると本当に申し訳なさそうに手を合わせている。
まぁ…梨香が悪いわけじゃないからなぁ。
「全然大丈夫だよ、っていうか言ってなくてごめんね」
「何を?」
「中谷のこと、好きなこと」
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