時は誰も待ってくれない 上
こんなにも涙を流したことはない。
こんなにも悲しい思いをしたことはない。
こんなにも会いたいと願った人はない。
どうして居なくなってしまったの?
転校することどうして言ってくれなかったの?
私はそんな大切なことを聞く価値もないから?
まだ私、伝えてないよ。

その夜私は泣き続けた。どうやって家まで帰ってきたのかは覚えてないけど梨香が心配そうに私に声をかけているのは覚えている。
でも何を言っていたのかは覚えてないくらい私はずっと中谷への思いで泣いていた。
目を閉じても開けていても中谷の存在は私の中から消えない。
こんなにも恋が悲しくて苦しいなんて。
初恋が…中谷だなんて。
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