時は誰も待ってくれない 上
今どんなに考えても何も変わらないのに、馬鹿みたいに一日中考えてこの空を今中谷が見てるのかな?っていつのまにか空を見ることが私の癖になっている。
帰り道、時々くるこの河川敷で寝転がって大きな空を見つめると吸い込まれそうでどこか遠くへ行ってしまいそうだった。
むしろ行ってしまいたかった―…。


空を見つめる私の横に人影が見える。
静かに私の隣へ座るとその人は言う。
「…悲しいね」
声の主が誰なのかは分かっている。
私は空を見つめたまま泣いた。
うん、悲しいよ…すごくすごく悲しくてあの瞳を助けてあげれなかったのが悲しいよ。
中谷の苦しむ訳を、転校したわけを知りたいよ。
気持ちを伝えたかったよ。
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