時は誰も待ってくれない 上
私の言葉に足を止めて完全に固まる梨香。
本当に凍ったみたいにフリーズする梨香の目は驚いたように開かれている。
「嘘ぉおお!?まじで!?」
「ええぇ!?知ったから言ったんじゃないの!?」
二人して道のど真ん中で固まる。
…だって、え?
梨香は私が中谷を好きだと感づいて言ったんじゃないの?
なのにそんなに驚く?
「まさか…当たるとは思ってなかった…」
あ、やっぱり感づいて言ったのか…。
「自分の発言に責任を持ってください…」
チリリーン♪
私たちの横を通り過ぎた自転車の爽快なベルの音で我に帰り、歩き出す。
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