時は誰も待ってくれない 上
私が笑うと泣きながら喜んでくれる人がいる。
それはどんなに幸せなことだろう。
ここまでずっと心配してくれた梨香にお礼をいうとまた泣いていた。

忘れたわけじゃない。
いきなり居なくなってしまった中谷を忘れることはない。
転校したならいつか会えるかもしれない。
どこに行ったのかも分からないけど、もし奇跡が起きて再会したその時は笑顔で私のこの初恋を伝える。

中谷に彼女が出来ているかもしれない。私なんかじゃ越えられないような幸せを掴んでいるかもしれない。
私だって彼氏ができているかもしれない。
こんな私でもいいと言ってくれる人と幸せになっているかもしれない。
それでも。
それでもあの時に伝えられなかったこの思いを伝えたい。「私の初恋はあなたです」と伝えられたら私は心から笑えると思うから。
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